自然エネルギー普及を阻むもの |
さて、前回の続きですが・・・。
時間がないなりに自然エネルギーのコスト計算に関係する情報を探してみたのだが、なかなか満足のいくデータには巡り会えないものですね。 日本でエネルギーのコスト計算を考えるとき、ほとんどの場合「平成11年12月総合エネルギー調査会第70回原子力部会において、一定の前提の下に行ったモデル試算」(資源エネルギー庁のサイトより)が用いられています。 (参照→http://www.enecho.meti.go.jp/faq/electric/q04.htm) 「原子力部会」の試算というだけあって、当然のように原子力が一番コスト安になってます(笑)。もっとも、この試算では廃炉費用や使用済み燃料の処理費用が冗談みたいに安上がりになっており、まともな数字として使用してよいものか、極めて疑問ですが(苦笑)。 ただ、海外のデータに直接アクセスしない日本語の議論では、立場の如何にかかわらず、ほぼ例外なくこのデータを基礎にしているあたり、極めて危険な状態と言えそうです。 そう言えば、太陽光発電の情報を集めているのに、詳細な解説を見つけたと思ったら、かなりの確率で原子力関連団体だったりするのは、何故?(爆) 資源エネルギー庁のFAQ一覧を見ても、質問の数が原子力49に対して、太陽光発電は風力その他と一緒くたで「新エネルギー」としてたったの4問。 いくら国民が原子力に不安を抱いているからって、もう少し情報公開してもいいのでは、と思ってしまいました。 もう一つ、気になるのは平成15年4月から本格施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(通称:RPS法)」の影響です。 この問題の政策的問題点とヨーロッパとの落差については、前回も引用した飯田氏が解説を加えております。 (参照→http://hotwired.goo.ne.jp/ecowire/tetsunari/040210/textonly.html) つまるところ、官僚主導の総枠規制の形で、新エネルギー利用の「発展」でなく「抑制」の方向に機能している、ということのようです。 どうやら日本の「新エネルギー政策」が誰のためのものか、見えてきつつあるように思えます。 ちなみに何故日本で家庭用の太陽光発電システムが採算レベルまで普及してきたかを考えると、いわゆる「売電システム」に加えて、「日本は電気料金が高いから」という特殊な事情があるようです。 家庭用太陽光発電システムは日照条件にもよりますが、早ければ15年前後、遅くとも25年くらいまでには元が取れるというのが現状のようです。一般に言われている耐用年数30年ということを考えれば、今でも十分お得です。 採算ラインを決めるのは、太陽光発電の場合、日照条件を除けば機器の設置費用と電気料金です。同じ発電量・同じ設置費用ならば、電気料金の高いところの方が容易に採算がとれるのは自明です。 アメリカでせっかくソーラーパネルに70%の補助金を支給したのに供給が追いつかず、製品が日本やドイツに流出しているという記事も、同じような背景事情があってのことなのかも知れません。 (参照→http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/business/story/20040707107.html) 太陽光発電の普及が促進政策でなく、電気料金の高さによるものだとしたら・・・。 電力会社の次の一手が「怖い」です・・・(←無茶苦茶期待・爆)。 |
by hirokira1
| 2004-07-19 21:35
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