突き詰めても、突き詰めても、つまりは不完全性思考
by hirokira1
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2004年 09月 23日
原発がどんなものかを知るために(中)
前回に引き続き、平井憲夫氏のものとされる「原発がどんなものか知ってほしい」という文章について考えてみます。
(参照→http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/
ただ、主に私の時間的都合により、十分な考察にはなっておりません。
あくまでも、限られた検討の中での推測としてお読みください。
また、この件につきより詳しい情報をお持ちの方がいらっしゃったら、是非とも教えていただくよう、お願いします。当方の間違いが判明した段階で、随時追記する予定ですので。






さて前回、「実は、この文章がどのようにして書かれ、公開されるに至ったのか、私なりの推測といったものは既にできています」と大見得を切ったのですが、その後いろいろネット漂流をしていて、いろいろなことがわかってきました。

まず初出誌についてですが、以下のURLで紹介されている『アヒンサー 私、子ども生んでも大丈夫ですか』という小冊子に該当する文章が掲載されているようです(ただし内容は未見)。
(参照→http://homepage.mac.com/amanedo/heiwanotudoi/ahinsa.html
どちらかといえば、「私家版」的な冊子のようで、誰もが普通に読めるというものではなさそうです。
これがさらに別の書籍からの転載である可能性も否定できませんが、多分その可能性は低いでしょう。

この文章(ウェブ版)を読んでみてまず感じることは、冒頭では「最後まで読んでいただくと・・・よく分かると思います。」と「読み手」を意識した表現がありながら、本文に入るとむしろ語り口調で「・・・というと・・・のように聞こえますが」とあるように、「聞き手」に対する配慮が随所に見られることです。
全体の雰囲気としては間違いなく「語り」の記録であるはずなのに、冒頭では「文章」であることと主張しているのは、少なからず違和感を覚えるところです。

この「語り」がいつどこでなされたか、またそれがどのような形でまとめられて「文章」として公開されたのか、直接には示されていません。
本来が「講演録」であれば、当然「いつ」「どこで」語られたのか、またそれを「誰が」文章にまとめたのかが明記されて当然なのですが・・・。

ただ、文中にそれを伺わせる手掛かりは残されています。
文中には「去年(一九九五年)」という表現がしばしば見られます。
これは、この「語り」が1996年になされたことを示すものです。
平井氏の逝去が「1997年1月」(1996年12月31日という資料もあり)とのことですから、まさに最晩年の「語り」であったことが窺い知れます。

ところが・・・ことはそう単純ではないようです。
例えば、「廃炉も解体も出来ない原発い(原文ママ)」にこのような一節があります。
一九六六年に、日本で初めてイギリスから輸入した十六万キロワットの営業用原子炉が茨城県の東海村で稼動しました。その後はアメリカから輸入した原発で、途中で自前で造るようになりましたが、今では、この狭い日本に一三五万キロワットというような巨大な原発を含めて五一の原発が運転されています。

文意からこの51という数字は「営業用原子炉」の数を表すと思われるのですが、実は日本の営業用原子炉がこの数字になるのは、平井氏の死後のことなのです。
このことは「原子力百科事典ATOMICA」などから確認できます。
(参照→http://www-atm.jst.go.jp/atomica/index2.html

#ちなみにこの「ATOMICA」、情報量はさすがですが、読みにくいことこの上ないです。なんとかならんものでしょうか?

なお、この平井氏の文章の別バージョンもウェブ上に公開されていますが、
(参照→http://blog02.yapeus.com/users/asakonbu/
こちらのバージョンでは、「去年(一九九五年)」などという表現がすべて「1995年」というように改められているばかりか、「数年前」とされている「石川県の志賀原発の差止め裁判の報告会」の時期が「十数年前」に改められていたりします。
つまり「1996年」という特定の時点の臭いを消して、より「普遍的なメッセージ」にしようとする意図が見受けられます。
従って、こちらのバージョンの方が「新しい」と判断できます。

以上のことから考えますと、次のような推測が成り立つと思われます。
(1) 平井氏がこの文章のもととなる「語り」を行ったのは、1996年のことである。
(2) (1)の平井氏の「語り」が文章としてまとめられたのは、「営業用原子炉」が51基となった1998年3月から『アヒンサー』が刊行された2000年4月までのことである。
(3) その後、その文章をより「普遍的」に加工した"別バージョン"が出現した。


#上述『アヒンサー』の刊行時期については下記URLを参照しました。
「原発関連資料集」〜浜岡原発とめよう裁判の会サイト
(参照→http://hp16.e-notice.ne.jp/~peace/page045.html

前回紹介した「EiFYE原子力発電所」では、この「原発がどんなものか知ってほしい」に対して、主に以下のような論点から批判を加えています。
・現在の原発「現場」と比べての事実誤認
・「公式見解」と比べての事実誤認
・事実に対する説明の曖昧さにより誤読を招く危険性
・飛躍した論理展開と不穏当な表現・断定口調
・「中立」を装いながら反対意見ばかり述べる偏向性


まだ全てを精読した上での結論というわけではありませんが、この中のかなりの部分は、上の(2)の段階で"要約者"の問題として理解できるのではないかと思っています。
私の推測では、この"要約者"は原発反対の立場をとっており、なおかつシステムとしての「原発」にはあまり詳しくない方ということになるのですが・・・(もしお読みになっていましたら申し訳ありませんm<(__)>m)。
平井氏の「語り」の中から、"要約者"の興味関心のあるところ、理解の及ぶところが特に抜き出され、結果として"要約者"の意図をより反映した文章が出来てしまう。
こういうことは、講演の要約をする場合には十分に起こりうることです。

もちろん、平井氏が「語り」をする"場"のバイアスも無視できないでしょう。
また、平井氏が実際に体験した原発の「現場」は(恐らく)1980年代以前のもので、それをもって現在の原発を語ることの危うさも考慮しなくてはなりません。
そう考えると、「EiFYE」氏のような批判が出てくるのは、ある意味必然と言えるのではないかと思います。

それでも私は、平井氏の名前のついたこの文章が真実を正しく表現していない、とまでは思えません。
「EiFYE」氏の議論の最大の弱みは、「公式見解」の背後にある官僚システム・電力会社などの"正当性"に対して疑念を抱いていない、ということのような気がします(もちろんこれは彼が電力会社の職員である以上当然かも知れませんが)。
平井氏のメッセージがそういったシステムの"正当性"そのものに対する批判である以上、両者の議論がかみ合わないのは当然でしょう。

私が今回のような、とてつもなく厄介なテーマを敢えて選んだ理由は、実はここにあります。
個々の言葉を捉えて、この情報は「信頼できる」とか「信頼できない」とか、○か×かというような単純な判断を下していては、見えるものも見えなくなってくるように思われます。
しかしそういう傾向は年々顕著になっているように思えて心配でなりません。
平井氏のメッセージはそれが貴重なものであるからこそ、「EiFYE」氏のような批判を常に受け入れるオープンさが必要なのです。
そのためには、少なくともここで推測した事柄についての事実を公開し、常に「現場」の現状についての検証を加えつつ、立場を超えた共通認識をつくりあげる努力を積み重ねていく必要があるのではないでしょうか?
故人を神格化し、その「語り」を「普遍的なメッセージ」に作り替えて反対運動に利用しようとする態度は、その意味ではむしろ逆行する動きのように思えてなりません。

もっとも、そうした営みを難しくする現状があるのもまた事実。
次回は、「EiFYE原子力発電所」とそれにまつわる問題について、決着をつけたいと思います(・・・って、まだ続くのかい・爆)。
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by hirokira1 | 2004-09-23 00:42 | Cafesta過去ログ
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