突き詰めても、突き詰めても、つまりは不完全性思考
by hirokira1
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2004年 08月 27日
ネットゲームの「南北問題」
HotWired Japanの日本語訳ニュースとして、次のような記事が掲載されているのを見つけました。

「オンラインゲームのアイテム収集に「下請け労働者」が出現」
(参照→http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040826203.html

たかがゲームということなかれ。ひとまず冒頭部分を引用してみましょう。

欧米では近ごろ、ゲーマーたちでさえ、単調で骨の折れる作業を中国やロシアといった他の地域に下請けに出している。

 多人数同時参加型オンラインゲーム(MMOG)の世界では、以前から、実際にプレイして入手しようと思えば何時間もかかるゲーム内の仮想アイテムを、現実世界のお金を払って購入するという近道が使われている。そのため、余分なアイテムや、もうやめてしまったゲームで使っていたキャラクターを売り出して、オフラインの収入源にする人さえいるほどだ。

 ところが最近、為替レートや国家間の収入格差という現実によって、豊かな国と貧しい国という現実世界の関係が、バーチャル世界にまで反映されつつある。富裕な国のプレイヤーたちが、ゲーム内でより有利なポジションを手に入れたり、ゲームの単調で退屈な部分を抜け出すためだけに気軽に数百ドルを支払う一方で、貧しい国の一部の人々が、ゲームを一日中プレイしてゲーム内の仮想通貨やアイテムを集め、現実の金銭を稼いでいるのだ。

 彼らはいわば「通貨稼ぎのゲーム労働者」で、稼いだゲーム通貨やアイテムを企業に売っている。そして企業はこれらのアイテムを、お金を出してでも手に入れたいというプレイヤーたちに提供している。


日本でもネットゲームに関連してゲーム上の“特典”がネットオークションなどで売買されているという話はよく聞きますが、「貧しい国」との所得格差を利用して企業による営利活動が展開されている、というのは私も初耳でした。

しかし、問題はここからです。

 欧米のプレイヤーの多くは、IGE社、あるいは『イーベイ』などのオークションサイトから、通貨その他のアイテムを気軽に購入している。だが一方で、生活のためにゲームを「プレイ」する人々のことを快く思わないゲーマーもいる。

 「彼らは他のプレイヤーとゲームを共有する態度に欠け、金儲けのために不当にゲームを占拠している」と、ハワイ州在住のシステム統合コンサルタントで『ファイナルファンタジーXI(スクリーンショット)』のプレイヤーでもあるジェイソン・ラム氏は話す。ラム氏は、仮想通貨の売買をするのはかまわないが、フルタイムのゲーム労働者たちのプレイ方法には問題を感じるという。

 「こうした人々は、ゲーム内の通貨を得るために、つねに特定の操作を行なっている。すると、他のプレイヤーはその操作ができなくなってしまう……。(しかも)彼らには他のゲーマーと交流しようという気がほとんどない」とラム氏。


別にラム氏の見解にけちをつけるつもりはありませんが、一般的な認識の問題として、「仮想通貨の売買」を認めるということと「フルタイムのゲーム労働者」に“楽しむためのプレイスタイル”を要求するということはそもそも矛盾しているような気がします。

「特定の操作」を独占するために他のプレイヤーが閉め出されるという現象も、他のゲーマーと交流する気がないという態度も、実は「フルタイムのゲーム労働者」だけでなく、その対極にある「フルタイムのゲーム“貴族”」にも同様に見受けられる傾向であるということを踏まえて次の一節を読むと、この“いびつな構造”が見えてくるのではないでしょうか?

 このようなやり方は、金銭のためにプレイする労働者たちに現実世界での利益をもたらしているかもしれないが、ゲーム世界では逆に不利益をもたらしている。同じくファイナルファンタジーXIのプレイヤーであるジョン・マーフィー氏によれば、一部のゲーマーが通貨稼ぎの労働者たちを追い出しにかかっているという。

 「何人かのプレイヤーが仲間を集めて、こうした人々の邪魔をしている」とマーフィー氏は話す。大勢のプレイヤーが集団になって、ゲーム労働者が通貨を稼ぐのを妨害するのだ――中には、不快なキャラクターを「殺す」場合もあるという。「こうしたギル転売屋たちのところに、たくさんのモンスターを連れてきて襲わせるのだ」

 しかし、それでゲーム労働者たちが引き下がったわけではない。


「ゲーム労働者」が「ゲーム世界」での利益を問題にしているとは、到底思えないのですが・・・。

当たり前にネットゲームをプレイしている多くの人々にとって、金銭のために“身勝手な”プレイをするプレイヤーの存在は確かに不愉快なもので、せっかくのゲームの楽しさを半減させるものなのかも知れません。
しかし彼らをゲームに呼び込んだそもそもの原因は、ゲームの中での優位性を金銭によって獲得しようとする、一部の“富裕”ゲーマー(?)の存在なのです。

「ゲーム労働者」ほど目につく存在ではないにせよ、ある程度ゲームをやり込めば、誰が“金で地位を手に入れた”プレイヤーであるかは、大体わかるものです。
けれどもほとんどの場合、他のプレイヤーの不満がこうした人たちに直接向けられることはありません。
なぜでしょうか?

少なくともゲームの世界では、こうした人たちの方が“強い”からという以外に、私には答えが思いつきません。

生活のことを気にせずひたすらゲームに時間をつぎ込める「ゲーム“貴族”」もそうですが、彼らが時間や金銭をゲームに注ぎ込むことによって得た“優位性”を覆すのは容易なことではありません。
一方、どんなにゲームに時間を注ぎ込んでも、その努力が“賃金”に変換されることによって、ゲーム世界では永遠に“優位性”を得ることのない「ゲーム労働者」たちは、こうした構造に不満を抱くプレイヤーたちにとっては格好のターゲットになります。

つまるところ、「ゲーム労働者」のプレイスタイルを口実に、公然と“弱い者いじめ”をしているに過ぎないのです。

「たかがゲームに何熱くなってるんだ?」と思われるかも知れませんが、こうした構造は、現実世界と比べても嫌気が指すくらい“瓜二つ”のものです。
“富める者”の欲望を満たすためにひたすら働く“貧しい者”。
“富める者”の矛盾を一身に引き受けざるを得ない“貧しい者”。
「たかがゲーム」であるだけに、この構造は現実世界以上に露骨で醜いものです。

さらに言うならば、現実世界における“貧しい者”の労働は、たとえそれがどんなにいびつなものであろうとも、何らかの「生産」行為を通じて自らの社会構築に多少なりとも寄与することができます。
しかしゲームの中でのこのような労働は、何も生み出しません。
“富める者”の欲望が別の方向に向かってしまえば、彼らは一斉に職を失い、またゼロからやりなおさなければならないのです。

以前、私はインターネットという道具のことを、価値観や認識の「拡大鏡」であると表現したことがあります。
ネットゲームについても、同様のことが言えるようです。
ただ残念なことに、ネットゲームの「拡大鏡」としての機能は、専ら現実世界の負の側面のみを過剰に「拡大」しているように思えてなりません。

私は決して、ネットゲームの持つコミュニケーションの広がりと可能性を否定するものではありません。
ただ、どのような人でも同じように“平等な存在”としてネット・コミュニケーションに参加できる環境が必要なのだと、改めて痛感した次第です。
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by hirokira1 | 2004-08-27 21:05 | Cafesta過去ログ
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