突き詰めても、突き詰めても、つまりは不完全性思考
by hirokira1
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2004年 07月 29日
センター試験訴訟と「強制連行」(上)
「新しい歴史教科書をつくる会」のウェブサイトによると、センター試験・世界史と日本史の設問を巡って訴訟が起こされているそうです。

「大学入試センターを東京地裁に提訴
 〜世界史、日本史を受験した大学1年生7人が原告 」

(参照→http://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news_ct/ct_news_040709.html

提訴に至るまでの経緯については、同じく「つくる会」の以下のURLで紹介されています。
(参照→http://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news_ct/ct_news_bn.html

槍玉に挙げられている設問はいくつかあるのですが、ここでは「強制連行」に関わる設問に絞って考えてみたいと思います。





ここで問題視される設問は、具体的には次のようなものです。

(第一問の)問5 下線部(5)(=「日本統治下の朝鮮」)について述べた文として正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから一つ選べ。

(1)朝鮮総督府が置かれ、初代総督として伊藤博文が赴任した。
(2)朝鮮は、日本が明治維新以降初めて獲得した海外領土であった。
(3)日本による併合と同時に、創氏改名が実施された。
(4)第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた。

ちなみに、正解は(4)とされています。

この設問に対し、主に「日本への強制連行」はなかったという立場から、様々な批判や抗議、政治的圧力が出てきたようです。
それらを一々引用するのは煩瑣で大変なので、ひとまず以下の論点に絞って考えてみることにしましょう。

a. この設問には(4)も含めて正しい選択肢がなく、受験生が正解に辿り着けない「悪問」である。高校で使用されている教科書にも「強制連行」に触れていないものがあり、設問自体が不公平だ。


センター試験の選択肢問題で「正しいものを選べ」という時、そこで要求されるのは“その選択肢が正しい”という理解と共に、“それ以外の選択肢は『明らかに』間違っている”という理解です。この設問の場合、
(1) 伊藤博文が赴任したのは「総督府」ではなく「統監府」
(2) 日本が維新後初めて獲得した海外領土は台湾(琉球という見方もあり)
(3) 創氏改名は1940年施行で、併合と同時ではない

という「正しい理解」があれば、確実に(4)が選ぶべき選択肢ということになります。

なお(4)について、「つくる会」は独自に調査した計29冊の教科書中10冊、つまり全体の「41%」に「強制連行」の記述がないとしていますが、
(参照→http://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news_ct/ct_news_040126.html
一方で実際に使われている冊数の割合(占有率)で見ると、「強制連行」としているものは「93.1%」に達するという指摘もあります。
(参照→http://www.h2.dion.ne.jp/~kyokasho/0_con007.htm

私も素人なので教科書全体のことはわかりませんが、たまたま手元にあった帝国書院の『新編高等世界史B 最新版』(2000年版)を見ると、「男性を強制労働のため日本へ連行し」(p.326)という記述がちゃんとあります。この教科書は「つくる会」が「記述なし」としているものです。
その後の改訂で削除されたなら話は別ですが、そうでなければ単に「強制連行」という用語を使っていないというだけのことになります。

こうなると、「記述なし」とされている他の教科書も怪しくなってきます。
「強制連行」という用語が直接使われていなくても、(4)を正解と判断するに足る情報が記述されていれば、受験生にとっては何の問題もないわけです。

そもそも最近の入試問題作成では、「教科書に載っている知識を憶えていれば解答できる設問」よりも、「習得した知識を駆使して教科書にない問題にも適切な判断が下せるかを試す設問」の方が重視される傾向にあります。
そういう観点に立てば、「つくる会」の主張が如何に時代錯誤で、なおかつ受験生の能力を過小評価したものであるか、理解できるでしょう。

以下、次回へ続く・・・。
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by hirokira1 | 2004-07-29 23:23 | Cafesta過去ログ
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